とんかつうめ茶づけblog ~Eight days a week~

同人SSサークル「とんかつうめ茶づけ」及び星倫吾の活動記録……なんて。

春歌BDSS | まいにち たべよう

「春歌ちゃん……」
突然春歌の元を訪れたのは、白雪だった。

話を聞くに、最近白雪の料理を食べる兄の箸が重くなったという。
それ以外に白雪に対して態度の変化があったわけではなく、
他の妹達に聞いてみても、特に兄に変わった様子はないという。
……そうなれば考えられるのは、
自分の料理に原因があると認めざるを得ず、
そういった方面が出来る春歌に相談を持ちかけた……という事だ。

「白雪ちゃん……ここ一週間、どんな料理を兄君さまに作っていたのか、
 教えて頂けますか?」
最近になって極端に白雪の料理の腕が落ちたり、
兄の好みが変わったとは思えず、春歌は尋ねてみた。
「これがここ一週間分のレシピですの」
……と受け取ったレシピには、
一ひねりも二ひねりもアイディアを盛り込んだ創作料理ばかり。
そりゃあ、フレンチのフルコースや満漢全席など食べてはみたいが、
さすがにそれが毎日だと嫌気が差すだろう……という理屈だ。
それをどう彼女を傷つけずに伝えるか、春歌は悩んだが、
やはりここは姉貴分として、実直な意見を述べるべきだと悟った。
「白雪ちゃんのお料理は……手が凝りすぎていて、
 きっと兄君さまの胃に負担がかかっていると思うんですよ。
 ……ここは一つ、シンプルなお料理にチャレンジされてはいかがでしょうか?」

春歌が白雪と作った今日の晩ご飯は、筍ご飯とお吸い物。
「春歌ちゃん……ありがとうですの。
 春歌ちゃんと一緒にお料理をしていて、姫、とっても勉強になったのですの」
毎日食べるのだからこそシンプルでもいい。
でも飽きられない工夫をし続けねば。

その後の白雪のレシピが、当分和食が続いた事を春歌が知るのは、
それからずいぶん先の話。