何度見ても感動が薄れないから「名作」って言うんです
下北沢・本多劇場に行くのも、何年振りだろう。
「東京まで特急で最短90分」「終電21:30」というトコに在住していると、
さすがに、東京の小劇場演劇との縁も薄くなってしまうのは否めない。
今年の夏は残念ながらキャラメルボックスをパスして、
離風霊船(リブレセン)を見ることにした。
……本業と、同人活動&HP運営と掛け持ちしていると、経済的・時間的余裕が厳しいので。
離風霊船の『ゴジラ』……確か7年前に見て、初めて泣いた芝居だ。しかも「2回」も。
星の中でも、キャラメルを抑えて、堂々のMyベストプレイ(=演劇)である。
汚れを知らない純粋な少女・やよいが恋をした相手は、怪獣・ゴジラ。
反対する両親や家族、許婚を名乗る幼なじみ、他の怪獣たちを巻き込み、説得し、
二人の結婚が認められようとするが……というのが、あらすじかな?
<b>「恋」ではなく「愛」の物語</b>ですね、星に一言で言わせれば。
ただの「ホレた、ハレた」とは次元の違う、
愛することによって、相手を思いやれ、自分も強くさせるが、
それは逆に、時には相手も自分も傷つける「エゴイズム」という凶器にもなりうる。
劇の方は…やっぱりナマモノは違いますよ。
「『Kanon』でメチャ泣いたよ〜」と、世の全てを知ったように言う輩に、
一度見て欲しいです。つーか、見ろ!。
泣いたらアカン…と決めていたのに、冒頭のやよいのモノローグで早速ホロリときてるし。
良い台詞じゃないですか。
『私、子供の頃から天使になりたかった。
いいえ、天使みたいな人、じゃなくて、本当の天使になりたいんです。
信じなければ救われない神様でもなく、優しさが常に優柔不断にすり替えられる人間でもなく、
怒りや、悲しみや、淋しさや、憎しみや、全てをただ黙ってほほ笑み返し、
あの春よりも優しく、あの夏よりも大らかで、あの秋よりも美しく、あの冬よりも清らかで、
あの太陽よりもあたたかい光の降る音に満たされながら……』
……でも、エゴがあるから「人間」は、天使にはなれないんですよ。
この『ゴジラ』の舞台は、86年の大島・三原山噴火。
おりしも、現在、三宅島が不穏な動きをみせており、リアリティがある…というと不謹慎か。